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2007年 11月 18日

重窒素の行方

このブログを始めてからまだそういえば本について書いていなかったことに気が付いた。ここ最近、実はあまり本らしい本を読んでいなかったので、先ずは数ヶ月前に読んだ本の紹介から。「生物と無生物のあいだ」(福岡伸一 著/講談社現代新書)。
数年前、同著者の「もう牛を食べても安心か」(文春新書)を読み非常に知的興奮を覚えることが出来たことに期待しての購入。この「生物と〜」は結構売れ行きが良いようで、今でもまだ多くの書店で平積みになっている場合が多い。
本書でも章を割いて解説あるのだが、いったい俺が何に知的興奮を覚えたのかというと、生物の体を構成するタンパク質や脂肪その他全てが、分子レベルで数ヶ月以内に全て置き換えられているという事実を知ることができたからだ。要は、一年前の俺も今日の俺も、俺は俺なのだが、しかし分子レベルで考えると、一年前の俺を構成していた分子は、今の俺の体のなかには一つも残っていないという事。何だか凄くないか?しかもこうした話は、実はこの著者の本で始めて知ることができたのだが、この事は1930年代の後半に既にショーンハイマーという科学者が窒素の同位体元素である重窒素を用い検証確認していたということにもまた驚かされる。
この本には他にもDNA発見のドラマや、生物というシステムの複雑さとそれを実現する実は非常にシンプルな仕掛け、等々についてのエピソードが語られとても楽しく読むことができた。
しかし、日本では伝記に取り上げられ偉人扱いをされている(上野に銅像も建っている)野口英世が、NYのロックフェラー大学で行った梅毒、ポリオ、狂犬病、黄熱病等についての研究成果が、発表当時は確かに賞賛されたものの、その後その殆どが正しく無いとして否定されたため、当のロックフェラー大学のなかでも(一度は顕彰したりした経緯もあるため)暗黒史的扱いされている(つまり偉人でも何でもない)という事は全く知らなかった。。。ちょっと悲しいね。


重窒素の行方_c0141133_209218.jpg


by 2dachsies | 2007-11-18 20:10


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