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2009年 06月 05日

オバマ!!

オバマ米大統領による昨日のカイロ大学での演説は、もしかしたら歴史上の大きな転機の一つになるのかもしれない。俺は今回の演説に正直言って非常に驚嘆すると共に、人類も捨てたものではないという希望と、オバマ大統領に対する期待の想いを非常に強く持ったのだが、それはこの演説を少し買いかぶり過ぎているだろうか。。。
日本のマスコミ報道記事をぱらぱらとさらい読みしてみたが、このEconomistの記事(画像にリンク)に優る解説は一つも無かった。



思えば、冷戦終結後間もなくサミュエル・ハンティントンが著した「文明の衝突」で予見していたような大分断と抗争の暗い世界が、9.11を契機としていよいよ本格的・不可逆的に進行してゆくような不安感を、特にイラク戦争後に感じていたのだが、オバマ大統領に今回の演説で示したような決意があるのであれば、世界が共有できるような希望がまだ残されているのではないか、と。
今回オバマ大統領は、明確にムスリムの信仰を米国として尊重する事を表明(米国内に既に多くのムスリムがいてそれは米国の一部であると言い、また米国の価値観を他国に強要することはしないと)する一方で、過激なイスラム原理主義者による暴力行為を容認する一部のムスリムの態度については厳しく非難した。そして俺が最も重要だと思ったのは、今回オバマ大統領は現在のパレスチナ人達の境遇を"Intolerable(受け容れ難い)"とし、しかもかなり率直に(それも繰り返しして)イスラエルに対しパレスチナ自治区に対する入植政策を止めよ、と要求したこと。ここまで、このような場でイスラエルに対して踏み込んだ発言を米国大統領がするとは思っていなかった。(オバマ大統領のバランス感覚が素晴らしいのは、同時にムスリム世界に対し、ユダヤ人達が長く歴史的に不幸な境遇を強いられてきていたことに対する理解を求め、更に「ホロコーストがあったという証拠は無い」というような(イランのアフマディネジャド大統領の)言説を"hateful(憎むべき)"とまでの表現で強烈に否定しつつ、一方で核不拡散協定遵守を前提とする核開発であれば認めるというような硬軟の使い分けと柔軟性だと思う。もしかして大統領選の時よりも進化していないか?)

そしてふとJ.F.ケネディの事を想起する。むかし人々が憧憬したというJFKも、このように人々に前向きな希望を持たせるようなカリスマ性を持ったリーダーだったのかもしれないなぁ、と。
(もしそうだとすれば、なおのこと、オバマ大統領の存在自体を、快く思わない暗い勢力もまた少なからずいるのではないか、とも。。。)

PS: Economist誌の記事が特に本邦メディアと際だって違うところは、記事の最期でしっかりと
 "Mr Obama's determination to set America's relations with Muslims on a new footing will bring hope across the Middle East and farther afield. The difficulty now lies in translating the new goodwill into action, not just by America, but by its Arab and Muslim allies."
と締めくくっていること。これだけ読むとどうってこと無いが、しかしこういう事をしっかり述べることができるTV/新聞は日本には無い。



by 2dachsies | 2009-06-05 23:21


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